同レベルかそれ以下



動物愛護なんちゃら、なんていう団体がありまして、その地域の文化を無視して人間よりも動物のことを優先するような趣旨の主張をよくなされておられますが、そのような主張を聞くと、ぼくは甚く感動して、あなたたちはまず私財を投げ打って、その動物を狩ることで生計を立てている人たちが、それ以上そのおぞましい行いをしなくてもよいように生活を保障し、あなたたちとあなたたちの家族は全員絶滅しそうな肉食獣のエサとなるがよろしいでしょう、と道を示して差し上げたくなる程度の動物好きであります。
言い換えると、大して動物好きではありません。
あと、電車の中や公共の場で騒いだり暴れたりしているお子様を見ると、その愛らしい姿にまるで聖人のような笑みを浮かべながら、小さな脚を引っ掛けて転ばせたくなる程の子供好きであります。
言い換えると、大して子供好きではありません。


そんなぼくですが、なぜか妙に動物と子供に好かれます。
ちなみに妙齢の女性にはあんまり好かれません。


いつの間にか幼児がまわりに集まってきていたり、知らない子供にいきなり話しかけられることがあります。
現在実家で飼っている、ネコとケンカしてコテンパンにやられるビビリ犬(略してビリ犬)は、家にやってきたとき、初対面にも関わらずあり得ないほどしっぽを振ってぼくに飛び掛ってきました。


先日も書いた、掬月亭に行ったときの事です。
広大な庭の中に、みやげ物や鯉のエサなどを売っているお店があったのですが、そこに美しい毛並みの黒いネコがおりました。
そのネコが、フッとぼくを追い越してこちらを振り返り、また歩いてはこちらを振り返るというような、まるで付いて来なさいとでも言うようなそぶりを見せました。ぼくをどこへ連れて行こうというのか。
まさかネコしか知らない、人が足を踏み入れたことのない秘境への扉へ連れて行こうというのか。
アルタゴオルなのか?
などと妄想しながらついていきました。
池を周り、橋を渡り、完全にぼくが方向感覚を失った頃、開けた場所に出ました。
こ、ここは!
さっきのみやげ物店でした。
ネコにおちょくられる愚鈍なホモサピエンスとはぼくのことです。


自転車で家路を走っていてネコに追いかけられ、何よ何よと自転車を止めると、ぼくの少し先に立ち止まり、まるで勝ち誇ったようなすました顔を向けられたこともありました。


言い換えると、動物と子供に同レベル以下だとみなされます。