日の出食堂の青春/はるき悦巳



はるき悦巳さんと言えば、あのじゃりン子チエの作者です。
このマンガは丁度じゃりン子チエが始まった頃に、同時に描かれたそうです。
ほぼデビューしたての頃というわけですが、この頃からすでに彼の作品に対するテーマやスタイルは確立しているように感じます。
高校にも進学せず、家業を手伝うわけでもなく、日の出食堂の2階で、騒いだり、自分たちのダメさに落ち込んだりしながら、ただ毎日を過ごしている、関西の下町の商店街のボンクラ息子達4人組の日々。


4人の憧れのミッちゃんが、元不良少年と付き合っているという話を聞いて、彼らはいつものように集まってその元不良少年の悪口を言ったり愚痴ったりしますが、だれも自分がその元不良少年の代わりにミッちゃんと付き合おうと行動する者はいません。
どうなりたいとか、なにがカッコいいとか、なにが理想とか、目指すべき道も何もなく、ただ漠然とした不満や不安を抱えて悶々とする日々。
かつてボンクラーズだった(あるいは今も)人にとって、ほろ苦いというか胸が苦しくなるような青春が描かれます。