TVの中の世界の出来事ではない



今年4月に創刊した、ファクタという経済総合誌があります。
書店で購入することはできず、予約購入のみとなっているようです。
その8月号の記事から無断転載します。

隠蔽された大津駐屯地
自衛隊員、怪死事件


4月21日、陸上自衛隊大津駐屯地で27歳の男性隊員が死亡した。


約半年にわたる教育訓練を経て、「公認会計士をめざしたい」との意思が明確になったことから上官に除隊を申し出た矢先、着任後わずか2週間での出来事だった。


陸上自衛隊は遺族に対し、「事件性はない」と説明しているが、医官の検死所見によれば、死因は脳挫傷で、鎖骨骨折も確認されている。
にもかかわらず、手足にはかすり傷ひとつなかったということは、頭を下にして落下し、地面に叩きつけられたことが死につながったと推測できる。


一方、「亡くなった隊員は隊舎3階の手すりにぶら下がっていた」との目撃証言もあり、事件性が皆無との自衛隊側の見解は受け入れにくい。
亡くなった隊員は身長が約180センチ。
長身の隊員が3階の手すりから手を滑らせて、真っ逆さまに落下するには高さが足りない。
単なる落下事故であれば、足首や大腿骨を骨折する可能性が高く、脳挫傷の可能性は低い。
「何者かによって隊舎から突き落とされたのではないか」との疑念がわく。


仮に自殺だったとしても、なぜ、そのような事態に至ったのか、隊舎内で何があったのか、説明がない。
「隊員が手すりにぶら下がっていた」という証言はあっても「他の隊員が助けようとしていた」という証言がないのも訝しい。
部隊首脳は、この隊員が死亡した直後、駐屯地内に献花台を設置し哀悼の意を表したが、終礼などの場において「事件性はない」とわざわざ言及したうえで、インターネットの掲示板に隊員によるものと思われる書き込みがあることを問題視する発言を繰り返し、事実上の箝口令を敷いている。
大津駐屯地に勤務するある幹部自衛官は、「隊員の死亡事案があったことを承知しているか否かも含め一切コメントできない」と、取材を突っぱねる。
陸上自衛隊は遺族に対し、内部調査する旨を伝えているが、真相解明に取り組むようには見えない。