毎日が綱渡り



ぼくは平日の昼食はいつも、社員食堂で同期の野郎どもと一緒に食べているのですが、その中にUくんという男がいます。
彼は天然キャラで、いつもおもしろいことをやらかしてくれるのです。


今日も昼食を食べていると、彼が
「emkenって長男?」
などと聞いてきました。
「どうしたん?」
と訊ねると、
「ウチは長男ばっかり狙って採用してるらしいで。」
などと言うのです。
みんな口々に
「えー?」「それはないやろー。」「意味ないやん。」
というような反応をしました。
すると、彼は、
「でも君も長男ちゃうん?長男やろ?ほらー。」
などと勝ち誇った様に言うものですから、いつものようにツッコむことにしました。
「まぁまぁ、落ち着いて考えてみなさい。」


長男を狙って、ということなので、逆に、「1人の男がいて、その男が次男以下である確率」を考えてみます。
まず平均的な兄弟の数として、2人兄弟の場合について考えてみます。
2人兄弟の男女の組み合わせは、[男、男]、[男、女]、[女、男]、[女、女] の4通りとなります。
男の中で次男である確率ですので、男4人中の、[男、男]の組み合わせの下の方の1人、つまり、2人兄弟で次男の確率は1/4となります。


当然ながら、一人っ子の場合は次男以下である確率は0です。
出生率は年々下がっており、今では2人を割っていると言いますので、「1人の男がいて、その男が次男以下である確率」は、もっと低いと考えられるでしょう。
殊更「長男を狙って」ということですので、次男以下の男が1割を割るぐらいで初めて「長男を狙って」と言えるかもしれない、というところでしょうか。


果たして、その場にいた同期の男12人のうち、2人までが次男でした。
まったくもって、絶対数どおりの数字としか言いようがありません。


という趣旨のことを言うと、彼は驚いたような、うれしいような顔で、
「ホンマや!ヒッヒッヒッヒ。」
と、納得したんだかよくわからない、とてもよいリアクションをしてくれたのでした。(彼は本当にいつもよいリアクションをしてくれるのです。)


しかし、数字の与える印象というのは恐ろしいものです。
ぼくも、話を聞いたのがUくんでなく、12人のうち10人までが長男、ということだけを聞かされたとしたら、「長男ばっかり」という印象を受けたに違いありません。
この数字の魔力に騙されないようにすると共に、これを上手く利用していくことで、この社会の荒波を渡っていくにあたって少しは役に立つのではなかろうか、などと思いました。


ちなみに今日も社内ブログと同じネタです。
どうです、この当たり障りのないネタは。


しかしそうそう当たり障りのないネタなんて在りはしませんよ!
神様、ぼくに開き直ってぶちまけたりしない強さを!
信じてませんけど。