月ノ石 / トンマーゾ・ランドルフィ 中山エツコ訳

月ノ石 (Modern & Classicシリーズ)

月ノ石 (Modern & Classicシリーズ)



表紙の絵が、レメディオス・バロという画家さんの「星粥」という絵です。
20世紀のシュールレアリズム画家さんで、スペイン出身でメキシコに亡命した女性です。
こういう幻想的で不思議な雰囲気の絵は大好きですので、思わず買ってしまいます。


中身の方も不思議な空気の流れるお話です。
孤独な青年が、山羊の足をもった美しい女性と不思議な出会いをし、恋に落ちていきます。
時代は20世紀初頭のイタリアのようでありながら、雰囲気は古代の神話のような世界です。


前半の村人たちのスノッブな生活や、後半の山賊たちの殺し合いのようなリアルな部分の中に、山羊の足を持った人間や、森の中の湖に現れる三女神などの怪異や神秘が突然現れ、現実と幻想の境界を見失います。


しかしやはりこの本は表紙がキラーです。