青の炎/貴志祐介

青の炎 (角川文庫)

青の炎 (角川文庫)



「黒い家」で第4回日本ホラー小説大賞受賞した貴志祐介さんの作品です。
保険金殺人をテーマにした「黒い家」での桁外れの恐怖は読みながらも手が震えるほどでした。
徹底して描写されたディテールで確かな世界観を構築し、その中での心理描写が生み出すリアリティには溢れる才能が見えました。
この「青の炎」はホラーではなく、主人公の高校生の青年が完全犯罪を犯すという犯人視点でのミステリです。
しかし、注目すべきは、この作品でも見られる主人公の青年の心理描写のリアリティです。
青年が完全犯罪を決意するまでの葛藤と決意の瞬間、罪を犯すことへの躊躇い、そして実行後の罪を犯したことへのどうしようもない悔恨と衝撃のラスト。
宗教観のない日本における「罪と罰」を描いた作品といっても過言ではないでしょう。
いや、どうやろ。
エラそうなこと言ってますけど、そういえば「罪と罰」読破してなかったです。
すいません。
ともかく、あまり書くと読んでいない方にアレなので控えますが、間違いなく傑作です。


ちなみに「黒い家」も「青の炎」も映画化されていますが、ぼくはどちらも未見です。
気になってはいるのですが、原作に比べると、、、という評判をよく聞くのですがどうなんでしょうね?