バッドタイミング



ちょっと冬が本気を出してまいりました。
冷気が攻撃性を増して、自転車に乗っていると肌に痛みを感じる季節です。
しかし、暑いのが苦手なぼくとしては、夏のまとわり付くような空気よりも、冬のサラリとした空気の方が、なにか穢れたものを剥がし去ってくれるようで、清清しく感じられて好きなのです。
街を歩いていても、自然テンションがあがってきます。


街はもう、イルミネーションだとか、赤だとか白だとか、クリスマス限定品だとかで溢れかえっています。
街が煌びやかなのは良いのですが、この疎外感といったらなんでしょう。
まるで咎人にでもなったようなこの感覚。
しかし、種の保存という生物の目的から考えると、独り者というのは種の目的行動から外れた存在であると言えます。
街の異常な騒ぎも、ぼくの感じるある種の罪の意識も、人間という種のDNAに刻み込まれた何かによる一つの結果なのかもしれません。


しかも今年に限って恐ろしいことに彼の日は土日です。
「クリスマスも仕事かよー。」
などと言い訳ることができないのです。
人々の刺すような視線から逃れて、部屋の中で頭から毛布を被って震えていろというのでしょうか。


もしくは、敢えて自分へのクリスマスプレゼントを買いに街へ出かける、というのも自虐的でよいかもしれません。
あ、そういえば「乱歩地獄」という映画はまだやっているでしょうか。
乱歩の真骨頂であるドロドロとした世界を映画化したオムニバスだそうで、大変気になっている映画なのです。
まだやっているならば、彼の日は独りで「乱歩地獄」を見ることにします。


と思って調べてみたら、もうやってねぇじゃないの。


もう立ち直れそうにありません。